東京オリンピック開催まで、あと2年。
辺りを見回してみると、開催に向けて着々と準備が進んでいるようです。
さて、そんな話題の一方で、東京オリンピック開催前後に「2020年問題」が起きるのでは? といわれています。
- オリンピック開催決定で東京の不動産価格が上昇。それを投資家(海外を含む)が値上がりを期待して不動産を購入。このことにより不動産の価格が全体的に上昇している。
- オリンピック開催直前に不動産価格がピークに達した時に売却。一斉に物件が市場に放出されるため、不動産の価値が下落する。
- オリンピック閉会後は、「オリンピック特需」が終息するため、消費が落ち込む。
オンリンピック開催によって、不動産投資に大きな影響はあるのでしょうか?
過去の開催国の経済状況
オリンピック開催国のGDP(国内総生産)を開催年を1として、開催年前後の推移をグラフ化しました。
(世界銀行からオリンピック開催国のGDPデータを基に作成)
ほとんどの開催国が概ねプラス成長となっていますが、一部にはマイナス成長となっている国もあります。
それぞれ国の当時の経済状況を調べてみると、次の通りです。
- 1992年バルセロナ大会(スペイン)…1990年代に入ってから湾岸危機を契機とした世界経済・欧州経済への影響、通貨危機などが原因といわれています。(初出:財務省財務総合政策研究所)
- 2004年ロンドン大会(イギリス)…オリンピック後に低迷していた時期がありますが、これは原油価格の上昇、住宅価格上昇の鈍化、個人消費の減速によるものとされています。(初出:BBC News)
- オフィス……56.4%
- レジデンス……7.9%
- ホテル……12.8%
- 物流施設……7.7%
- 商業施設……5.1%
オリンピックが原因で経済にマイナス影響を与えているとは考えにくいようです。
投資家の不動産購入による価格上昇
東京23区の地価の推移を見てみると、2008年のリーマンショックによる地価下落、続いて2013年の東京オリンピック開催決定後から上昇傾向になっています。
しかし大きく上昇しているのは商業地であり、住宅地については大きな変化は見られません。
(東京都財務局の公示地価のデータを基に作成)
また、海外投資家へのアンケートによると、投資先の不動産の種類は、商業関連が多い傾向です。
(初出:国土交通省「海外投資家アンケート」)
長期安定型の不動産投資の場合
売買利益(キャピタルゲイン)を目的とした不動産投資の場合、投資の対象は商業関連が中心でした。
一方、長期的に安定した家賃収入(インカムゲイン)を目的とした不動産投資について、家賃の推移を見てみると、価格の変動は多少あるものの、地価の影響を受けて大幅に下がることはないようです。
(総務省統計局ならびに東京都財務局のデータを基に作成)
売買利益で「儲ける」不動産投資はオリンピック開催の影響を受ける可能性は大きいですが、家賃収入でコツコツと収益を得る不動産投資は、大きな影響を受けることはなさそうです。
※この記事は各種統計データを基に作成しています。今後の状況につきましては、様々な要因が影響しますので必ずしも記載内容通りになるとは限りません。