マンション投資の節税効果について再確認

マンション投資の節税効果について再確認

販売会社がワンルームマンション投資を勧めるキーワードの一つとして、「節税効果」があります。

確かに節税効果があるといえばありますが、注意すべき点がいくつかあります。

ワンルームマンション投資の
節税は落とし穴

サラリーマンの給与からの控除

ワンルームマンション投資のメリットの一つとして、「節税効果」を謳っている会社があります。

日本では、高所得者になるほど所得税などの税金負担が重くなる「累進課税制度」を採用しています。

それなりの収入を得ているサラリーマンならば、税金が高いと思っているのかもれしれません。

年収500万円の単身サラリーマンの場合

所得税で課税所得の20%、住民税が課税所得の10%となり、社会保険料等を含めると合計で150万円給与から天引きされ、手取りは約350万円になります。

サラリーマンは自営業者のように、仕事上で支払った「経費」を計上することができないため、税法に従って高い税金を支払っているのです。

そんな中で「サラリーマンでも所得税・住民税を節税できる方法がある」と耳元で囁かれると、否が応でも興味を持ってしまいます。

しかし冷静に考えてみると、そんなウマい方法があるのであれば、世の中のサラリーマン全員がマンション投資をしているはずです。

一部の人には節税効果はありますが、すべての人に効果的であるとは言えません。マンション投資の節税の落とし穴です。

心無い販売業者は、誰でも節税効果があるかのように薦めてきます。どのような仕組みで節税になるか、しっかりと理解していないと恩恵があるのか分かりません。

ワンルームマンション投資の節税の仕組み

ワンルームマンション投資を始めると、賃貸経営をしている大家さんになります。

給与以外に家賃収入という収益が発生しているので、確定申告をする必要があります。確定申告をすることで、所得税・住民税の節税になる場合があります。

ワンルームマンション投資の確定申告の流れ

  1. ワンルームマンション投資の年間の収入(家賃)から 支出(かかった経費など)を差し引いて不動産所得(=手元に残る利益)を求める
  2. 不動産所得と給与所得を合算(損益通算)して、支払うべき税金を計算する基になる数字(=課税所得額)を算出する

課税所得額を算出した時の数字によって、節税効果があるかかどうか変わります。

不動産所得がプラス(黒字)だった場合

不動産収入で儲けが出た分の税金を追加で納める必要があります。

不動産所得がマイナス収支(赤字)だった場合

すでに源泉徴収されている所得税の一部を還付してもらうことができ、翌年支払う住民税が安くなります。

つまり、不動産所得が赤字になった時のみ節税効果があるのです。

ここで鋭い方なら、「経費をできるだけ多く計上して赤字にすればいい」と思われるかもしれません。しかし当然ながら、何でも経費計上できる訳ではありません。

不動産投資において経費として認められる項目は、以下の通りです。

  • 毎月の管理費・修繕積立金
  • 賃貸管理会社に払っている手数料
  • 金利(建物にかかる分のみ)
  • 税金(固定資産税・不動産取得税・印紙代など)
  • 設備交換・リフォーム費用
  • 減価償却費
  • 損害保険料
  • 税理士・司法書士報酬(確定申告の作成や登記を依頼する場合)
  • 融資事務手数料(融資を受ける場合)
  • 雑費(交通費・書類取得費など)

マンションを購入した初年度は、登記費用・融資事務手数料・不動産取得税などの諸費用がかかり経費で計上できるものが多いため、不動産所得は赤字になりやすく税金の還付も大きくなります。

しかし2年目以降は、初年度のほどの大きな出費はないので、収入と経費がほぼ同じ金額になります。

マンションの建物価格部分を減価償却することを考慮しても、節税効果があるのは初年度~2年目までです。

ワンルームマンション投資の節税効果の落とし穴

販売業者から提案されている、運用のシミュレーションで、次のうち一つでも該当したら要注意です。

  • 35年のローン期間中ずっと税金還付が続いている
  • ずっと同額の節税効果が見込まれるシミュレーションになっている
  • 年間のマイナス収支は、戻ってくる税金でカバーできるので、持ち出しはほぼないと説明されている

節税効果は購入後の数年間しかありません。もし 35年間ずっと数十万円の節税ができるとすると、違法な脱税を促されているのと同じです。

そもそも節税目的で不動産を買うということは、年間の収支が赤字になる物件、即ち「赤字物件」をつかまされているのと同じです。

赤字物件を保有していると、マイホーム購入のためのローン審査では、収入全体で審査されるので、不動産所得が赤字だと審査にマイナス影響を与えてしまい、希望していたのマイホームが買えないことになりかねません。

損切りで手放そうにも、赤字物件は買い手がほぼいないので、売却するのも難しいです。

ワンルームマンション投資が節税になる人

相続税は節税できる

ワンルームマンション投資は節税にならないと説明しましたが、相続税については節税ができます。

相続税は税法上 贈与税についで2番目に税率が高い税金です。資産の相続は金額も大きいので、億単位での納税になる場合もあります。

不動産は相続税を計算するときに「時価」ではなく、「固定資産評価額」や「路線価」で計算されることがほとんどなので、現金で相続する場合のおよそ1/3程度まで圧縮することができます。

まとめ

残念ながら一般のサラリーマンが、ワンルームマンション投資で1戸2戸保有したところで、あまり節税できないというのが現実です。

もし知り合いから、「不動産投資で節税ができる、一度紹介するから話をきいてみないか」と誘われたら要注意です。

ウマい話には裏があると注意して、何事も話を鵜呑みにせずにしっかりとした知識をもって、自分自身でやるべきかどうかを検討して判断することが大切です。

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