令和3年の地価公示について
令和3(2021)年3月に国土交通省から地価が公示されました。※1
国土交通省によると、全用途平均は平成27(2015)年以来6年ぶりに下落に転じたとのことです。
これは、新型コロナウィルス感染症の影響により、不動産取引が消極的になった(対前年94.%)などが影響していると思われます。※2
また用途別で見ると、住宅地は平成28(2016)年以来5年ぶりに下落に転じたとのことです。
これは取引の減少、雇用・賃金情勢が弱まり需要者が価格に慎重な態度となったことなどが挙げられます。
公示地価の変化によって、マンション経営に影響はあるのでしょうか?
※1参考:令和3年地価公示の概要(国土交通省)
※2参考:総務省統計局「サービス産業動向調査」の売上高
東京都の公示地価
東京都の住宅地の公示地価の変動率は-0.6%、東京23区は平均-0.5%で各区も-0.9~0.3%と微減微増となっています。
1993年のバブル経済崩壊時の-18.5%(東京23区は-22.2%)、2009年のリーマンショックの時は-6.5%(東京23区は-8.3%)と比較して、大幅な下落ではなさそうです。
不動産の価格(価格指数)と公示地価の推移をみると、地価の値動きに近いですが、大きな影響はなさそうです。
また民営家賃と公示地価の推移をみると、家賃と地価の関連性はほとんどないようです。
では、公示地価が影響するものは何があるでしょうか?
- 固定資産税評価額…地価公示価格の70%相当となっています。
- 相続税評価額……相続したものに不動産が含まれる場合、時価によって算出されます。
時価は路線価を基に決められます。また路線価は、地価公示価格等を基として算定した価格の80%により評価しています。
マンション経営は収益還元法
マンション経営での不動産価格の多くは「収益還元法」から算出されます。
収益還元法とは、不動産から得られる収入から逆算して不動産価格を求める方法です。
たとえば、直接還元法※3の場合は次の式で不動産価格を求めることができます。
不動産価格= 一年間の家賃収入 ÷ 還元利回り※4
つまりマンション経営では、安定して家賃収入が得られることが、不動産の価値を決める重要なポイントになります。
※3:直接還元法以外にDCF法があります
※4:還元利回り…不動産投資で用いられる投資利回り
ここで東京都の転入転出超過を見てみると、2020年は転入超過となっています。
また東京23区の年齢層別の転入転出超過を見てみると、若年層は転入超過となっています。
つまり、若年層の需要に適う東京23区内の単身者向けの物件は、マンション経営に適しているのです。