そもそも長期修繕計画って?
分譲マンションの場合、管理組合が建物管理会社に管理を委託しているケースが多く、その管理会社が長期修繕計画案を作成します。
その計画にならって、大規模修繕工事などの際に資金が不足しないよう、計画を立ててなるべく工事の一時金の徴収などが発生しないように逆算して計算していきます。
国交省では長期修繕計画作成のガイドラインも制定されており、5年ごとに計画の見直しすることを推奨しています。
定期的に行われる工事の項目
大規模修繕工事
15~20年ごとに実施します。マンションの外側に足場を組んで、マンション全体の劣化チェック、外壁工事や塗装工事などを行います。
工期も2~3か月ほどかかり、長期修繕計画の中でももっとも費用の掛かる工事です。
屋上防水工事
ビルやマンションの屋上は、陸屋根と呼ばれる平らな屋根です。
雨水が溜まりやすいため、浸水による建物への影響を防ぐため、施工時に防水処理が施されます。
しかし、年数が経つと劣化してしまうため、定期的な防水工事が必要になります。
鉄部塗装工事
エレベーターや玄関扉など、経年劣化した鉄製の箇所を塗り直しします。
見た目をきれいにする意味もありますが、錆による劣化を防ぐための処理でもあります。
エレベーター交換工事
ビルやマンションなどで欠かせない設備となっているエレベーター。定期的なメンテナンスで、事故が起きないようにしています。
設備自体の耐用年数と、使用頻度が高く人命に関わる設備のため、一定時期なになるとリニューアルが必要になります。
給排水設備の交換
ライフラインとして重要な役割をもつ給排水設備。経年劣化が進み給水管や排水管が破損すると、水漏れによる建物への悪影響や衛生的な問題となります。
常時稼働しているため、大規模修繕工事と併せて交換を行うことが多いです。
金属、建具などの交換
共用部であるフェンスなど、金属製の設備も経年劣化で破損することがあります。定期的なメンテナンスで防錆処理をしていても、いつかは交換することになります。
修繕積立金が値上げさるのは悪いこと?
建物の年数が経過してくると長期修繕計画に沿って、修繕積立金を段階的に値上げしていくことがほとんどです。
実際修繕積立金は毎月のランニングコストなので値上げされると直接収支に響いてくるため、オーナーからするとできれば値上げはしてほしくない、というのが本音かもしれません。
しかし、ここで注意していただきたいことがあります。
いざ、大規模修繕工事の時に工事資金が不足し、管理組合で工事費を金融機関から借り入れして補うケースもあります。
実際、借り入れをしてしまうと大規模修繕工事は実施できるのですが、仮に物件を売却しようとした際は銀行からの評価が下がってしまうケースもあります。
それによって予想していた金額で売却できなくなってしまうといったデメリットもありますので、修繕積立金はマンションの寿命、ひいては将来のマンションの価値を左右する重要な資金ですので、管理組合全員で協力して大事な資産を維持していきましょう。
修繕積立金をシミュレーションしてみよう
独立行政法人住宅金融支援機構の『マンションライフサイクルシミュレーション』では、簡易的な長期修繕計画のシミュレーションが作成できます。